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2026/04/24 01:43 |
奥極/子どもたちの憂鬱
「おい、どうしたよ周坊。一丁前に物憂い顔しやがって……悩み事か?」
「うーん、」
「……重症みてえだな。おら、気になる事があんなら俺が聞いてやるって。案外、たちどころに解決するかもしれねえだろ?」
「うん……。実は、梓のことなんだけど」
「梓? おまえの妹が、どうしたよ?」
「最近、妙にパパとママの喧嘩に口を出すようになったんだ。『喧嘩はいけませんっ!みんなで仲良くするのっ!!』って、二人の間に入っては意気揚々と仲裁してるから……どうしたのかなぁって……」
「梓が?」
「うん、梓が」

「「……」」

「……今までだったら『もーまた喧嘩してるー』って不貞腐れてるだけだったよな?」
「うん。だったね」
「それがいきなり、仲裁を買って出てるってのか?」
「うん。なんでだろうね」

「「……」」

「……梓が影響されるっつったら、」
「あの人しか居ないよね」
「……シゲか」
「たぶん」

***

「おい、シゲ。ちょっと面ァ貸せ」
「ああ?―――っと。なんだ、三代目か。おかえりー」
「おかえりじゃねえよ、テメエ。梓に、何吹き込みやがった」
「…何って、なに?」
「とぼけてんのか?」
「いやいやマジで。俺、あずになんか悪いことでも言った?」
「さっき、シュウの奴が最近梓がアイツらの仲裁買って出るから不思議だって、俺に相談してきやがったんだよ」
「……子猿が?」
「それ言ったらシュウに殺されるぞ」
「あ、悪い失言だった。―――それより、あずが仲裁役買って出てるって……マジ?」
「ああ。シュウは嘘吐くような性格じゃあねえだろ」
「はー、へー。そっかぁ。やーっぱ梓は素直で可愛いねぇー」
「……おい、」
「ふ、ははっ。あずに割り込まれて困惑顔するアイツらの顔が眼に浮ぶー!!」
「……」
「はっひひ、もしあずが泣き出したりしたらどーすんだろ、アイツら。いきなり肩組んで仲良しアピールしてたりして…・…っ」
「……」
「くっふ、ははっ、は、腹痛ぇえええ……っ」

「―――オイッ、誰か綱元呼んで来い!!」
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2008/01/12 18:05 | Comments(0) | BASARA/奥極シリーズ
愛かもしれない、愛じゃないかもしれない(途中)


 戦場で、ふとした時に絡む視線には気が付いていた。
 殺気を漲らせるわけでもなく。冷ややかに睥睨するでもなく。こちらの真相を明らかにせんとばかりに投げつけられる視線は、ひどく居心地が悪かった。
 自分も、そして相手も。互いに名前と身分程度しか知らぬ、そんな関係。
 片や一国の主。片や、しがない草のもの。
 身分違いも甚だしい二人の間に介在するものなど、敵意以外に何があろう。佐助はぎりりと口の端を無意識のうちに噛み締めて、誘う瞳のままに、彼の人の前へと躍り出た。

「よぉ、武田の忍。ンなとこで寛いで……月光浴か?」
「そういうアンタは、真夜中のお散歩? 良いご身分の人が、無防備過ぎるんじゃない?」
「Ha! 敵方のてめえには言われたくねえな」
「それは、ごもっとも」

 にこり、と薄っぺらい笑みで笑えば、男もにたりと口の端を歪めて笑う。
 ここは敵国、男の土地。自分は紛れ込んだ異分子で、男の命を脅かすもののはず。なのに、こうして目の前で笑う男には少しの変化も見つけることが出来ない。緊張や、不快感や。命を狙われるものとして持っているはずの、負に満ちた感情など、男のどこからも沸いては出てこない。それが不思議で、なぜか少し腹立たしかった。

「それで? 今日は俺を殺しに来たのかよ?」
「特にそういう命は受けてないんだけどね。手土産に竜の首を持って帰るのも良いかなって、今考えてたとこ」
「言うじゃねえか、忍」
「お褒めに預かり光栄至極、ってね」

 この男は他の人間相手にも、こんなに無防備な姿を晒しているのだろうか。
 隙を見せて、誘い込む術ではない。純粋に、今討ち取られても構わないというような、この男らしからぬ空気さえ透けて見えて。不快感は否応無しに育ってゆく。

2008/01/08 22:44 | Comments(0) | BASARA/サスダテ
梵天丸妄想



薄い夜着のまま褥から抜け出し、部屋の隅で体を丸めた梵天丸は、己の弱いところを隠すように立膝の中に顔を埋めて、ぎゅっと腕で囲いを作る。
誰もこの中に入ってこぬように。
誰も自分を傷つけたりしないように。
まだ幼さを残した丸みを帯びた指が白く染まってしまうほど、ぎゅうっと己の体を抱く。

静か過ぎる夜は嫌いだ。

どこからともなく聞こえてくる鳥の鳴き声はおどろおどろしいし、風が隙間を抜ける音は女の絶叫に聞こえる。
カチカチと震えてくる体は、だからきっと寒さだけのせいではない。梵天丸は褥の横に落していた羽織を指先で摘んで引き寄せると、己の体を隠すようにすっぽりと頭からそれを被せた。
たった布一枚のことだというのに、外からの音は膜を張ったように不鮮明になり、己の呼気で温まった空気が凍えた体を癒してくれる。
この空間には、自分を傷つけるものなど何もない。
己の体だけをすっぽりと包む閉塞感は心地良く、誰もいない世界はただ穏やかな時間の流れしかない。
きゅうっと戒めていた指を少しほどいて、梵天丸は「ほう」っと暖かな吐息を漏らした。

ずっと、このまま……。

ひっそりと独りで生きていけたのならば、自分は幸せになれるだろうか……。
梵天丸は闇に覆われた世界にぼんやりとした視線を投げながら、眉を下げて考える。
何ものにも侵されないかわりに、何ものとの繋がりを持てない閉ざされた世界。優しくて、冷たくて。穏やかで、寂しくて。自由で、孤独な世界に、自分は耐えていけるだろうか。
実母に疎まれながらも、その温もりに女々しくも縋りついてしまいたくなる自分に―――そんな世界が耐えられるのだろうか。
無理だろう、と。自嘲の形に唇の端を歪めて嗤う。
自分を顧みない母を求めて、母の愛情を一身に受ける弟を嫉んで。独り寒さを堪えるこの体を嘲笑う。

「は、はは……」

乾いた笑いが静かな部屋ではやけに響いて、自分ながらにびくりと竦む。
世界を包む闇は一段と濃度を増していき、ねっとりと絡みつくような黒にやがて自分も飲み込まれてしまうのではないかと錯覚する。
だって、この体は薄汚く穢らわしいものでしかないのに。
無意識に右眼へと指を這わせた梵天丸は、そこにある醜い病痕に唇を噛み締める。
母に疎まれた原因。己を闇へと導く忌まわしい痕。
これさえなければ、自分も母に愛されたかもしれないのに。これさえなければ、こうして独り、闇に飲み込まれる恐怖に怯えることもなかっただろうに。

―――だれも、この闇に手を差し伸べてはくれない。

穢れた梵天丸の体へと触れれば、己まで穢れてしまうと思っているのだろうか。
それが嘘なのか真なのかも、梵天丸にはわからない。ただ、忌み疎まれてきたこの体が、ひどく醜いものだということだけは分かってる。
化け物のような自分が、誰かに愛されるわけもない。
自分自身すら厭わしいと感じているこの体を、誰が抱きしめてくれるというのだろう。

体温のない羽織が梵天丸の体を覆い隠すように背へと腕を回している。
自分に与えられた抱擁は、これだけだ。
己の温もりを巡らせて、独りの寂しさを穏やかさで包み隠そうとする、虚像の世界。
日が昇れば、また梵天丸は独りの世界へと帰らなくてはならない。周囲にはたくさん人が居るのに、たった独り、唇を噛み締めるしかない世界へと。
ならば、このまま闇の中に棲んでいたい。
ここなら、周囲には誰も居ない。寂しさは募るけれど、昼間のように疎外感を味わうことはないのだから。

だって闇は、こんなにも身近で梵天丸のことを誘っている。
こちらへおいでと手招いて、政宗を完全に覆い隠そうと微笑んでいる。

だから怖い。

いつか、この闇の手を求めてしまいそうで体が震える。
呼吸する度に、肺へと闇が流れ込んできて、梵天丸の体を内側から変えてしまっているのではないかと不安になる。
けれどここは優しい。
けれどここはあまりに虚しい。
再びきゅうっと体を縮めた政宗は、膜越しに聞こえる闇鳥の声に小さく震える。


闇に魅入られていきそうな、穢れた躯が―――どうしようもなく厭わしかった。

2008/01/08 22:31 | Comments(0) | BASARA/その他CP

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