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2026/04/26 07:38 |
身勝手なコイビト
 湯上りの雫に髪を濡らしたまま、ソファの上で踏ん反り返った男は美味そうに紫煙をくゆらせる。
「……俺もいい加減、アンタの言動にはなれてきたつもりなんだけどさ」
「結構なことじゃねえか。なら、この先の問答も無駄だって分かってんだろ?」
 苦い顔で見下ろすこちらの苛立ちを承知の上で、男は挑発的な言葉を選んで笑った。
 これが男の手なのだと分かっていても、腹が立つ。
 佐助は大きな溜息を一つ吐き出し、もはや何度目かもわからない言葉を吐き出した。

「なんで俺の家で、元親さんとアンタが寝てんの!!」

 そう。ここは猿飛佐助が暮らすマンションの一室―――ビジネス街の中に佇む高層ビルの最上階をその階丸ごとぶち抜いただだっ広い部屋のリビングである。
 佐助としては、もう少し手狭なところで十分だったのだが、流石に龍志会会長代行という立場柄あまりみすぼらしい所に住んでは、下のものの意欲に関わるという事で渋々ながら独り暮らしには広すぎる部屋で暮らしているのだ。だから間違っても、目の前の男が新しい男を引っ張り込むためのホテル代わりに、この部屋を購入したわけでは無い。断じて、ない。
「うっせえ野郎だな……。こちとら寝起きなんだ。少しは静かにしやがれ」
「……アンタね、言うに事欠いてそれはないんじゃない?」
「ンだあ? なんか文句でもあんのかよ」
 苛立たしげに煙草を噛み、男―――伊達政宗は睨みあげるようにして視線を眇める。
 政宗は、佐助と同じく龍志会に属する正真正銘のやくざものである。武闘派として名を馳せた伊達組の現当主とあって、その眼光は鋭い―――けれども。もはや政宗とのにらみ合いが日常茶飯事になってしまっている佐助が、この程度の眼光で怯むはずもない。
 言っても無駄なことと知りつつも、どうしても口にしたいものがあるのだ。
「聞くのも馬鹿らしいけど、元親さんと何やってたわけ?」
「何って……、不純同性交遊?」
「笑い事じゃないでしょう!!」
 くくっと。さも可笑しげに笑う政宗を一喝し、佐助は気だるげ腕を持ち上げて額に垂れ下がってきた髪を梳きあげた。
「……あのさ、俺の勘違いだったら悪いけど」
「Ah?」
 苛立たしげに見上げてきた眼光から一転。愉悦に目を輝かせながら続きを促す男の性の悪さに心底げんなりする。
「俺とアンタって、付き合ってたよね?」
「ああ、付き合ってるな」
 あっさり認められるのも、それはそれで腹が立つ。
「じゃあ、元親さんは何なのさ」
「ありゃ愛人。あー、間男でも良いな」
「真田の旦那は?」
「愛玩動物(ペット)」
「……アンタ、仮にも会長に向かってそれはないんじゃない?」
 ここだけの話にしてくれと笑う男は、佐助の追求などまったく意に介さないらしい。一度咥えていた煙草を捩り消してから新たな一本に火をつけ、ふっと佐助に煙を吹きかけてきた。
「妬くなよ、猿飛。ただ味見してるだけじゃねえか」
 宥めるように言われる言葉も耳タコだ。
 コイビトはおまえだけだ。あいつらにあるのは興味だけ。ちょっと味見しただけだろう?
 そんな曖昧な言葉で一度でも浮気を許してしまったのが間違いだった。―――以来、政宗は同業者だろうがカタギだろうが気にもせず、好みの男を見つける度に口説いて喰らって捨てている。
「悪食だもんね、伊達さんは」
「Sure,じゃなきゃおまえに惚れるわきゃねえだろ」
「………ムカツク」
 くくっと笑った政宗は、煙草を咥えたままソファから腰を上げた。
 男にしては線の細い体に、思わず屈服させたくなるような挑発的な態度。政宗の持つ色香とも呼べる空気に狂わされた男たちは、一体どれくらいの数になるのだろう。
 幼い頃より実母から冷遇されていたせいか、政宗は女性に対しては一切性的欲求を覚えないそうだが、そのぶり返しのように男の好みの幅が広いのはいかがなものだろう。流石に、五十間近の某暴力団組長を喰らったと聞いたときには頭を抱えた。
「拗ねるなよ。俺が惚れたなんて寒い台詞を吐くのはおまえにだけなんだぜ? ちったあ喜んでもバチはあたらねえだろうよ」
「おれとしては、浮気しないでくれたほうが感謝感激なんだけど……」
「そいつぁ無理だ。あきらめな」
 良い男を見ると喰らってみたくなる。自分の持ち得ないものを持っている男を貪って、自分に足りない何かを補ってみたくなる。だからつまみ食いはやめられない。
 政宗はそう繰り返し、事実浮気されなかった時期などない。
 自分が浮気をする代わりに、佐助の浮気も咎めないという点では素晴らしく寛容な恋人なのかも知れないが、これでは付き合っている意味がわからない。
 まるでセフレだな、と。やや自嘲気味に口の端をゆがめると、咥えていた煙草を灰皿へと捻じ込んだ政宗が、ぺろりと口の端を舐めてきた。
「そのかわり、てめえにはサービスしてやってんだろう……?」
「色仕掛けってわけ?」
「その言い方は好かねえな。愛情表現だ、愛情表現」
「……どうだか、」
 軽く開いた唇の間に政宗の舌が忍び込み、熱い情欲を絡めてくる。
 唾液を啜って、天蓋をなぞり、戯れるように頬を内側からくすぐっては唇に軟く噛み付いてくる政宗の唇に応えながら、結局はこうして怒りきれない自分に嫌悪感が募ってゆく。
 政宗を抱く男を憎らしく思うし、浮気ばかりを繰り返す政宗を恨めしく思う気持ちもある。しかしそれ以上に、我が侭な暴君を手放せない自分が、何よりも腹立たしくて嫌になるのだ。
 ちゅっと、不似合いなほどに可愛らしい口接音を残して離れた唇を、政宗のすらりとした指先がなぞって離れる。
「―――愛してるぜ、猿飛」
 にやりと告げられた言葉に苦笑して、佐助は閉ざされたままの寝室の扉へと目を移した。
「……さあて、どうしよっかなぁ」
「好きにやって良いぞ。俺は出かけてくる」
「おんや? 情人の命乞いはしなくていいの?」
「俺がそんなお優しいわけねえだろ。自業自得だ、指詰めるなり丸坊主にするなり好きにしろよ」
「……りょーかい」
 つまらなそうに言い残す政宗の背を見送りもせず、佐助は寝室へと歩を進めた。
 この中に居るのは、政宗の毒牙に掛かった可哀想な餌でしかない。
 古くからの知り合いである元親の顔を思い浮かべて、佐助は彼をどう料理しようかなどと考える。

「あーあ。……俺様ってば不憫、」

 呟く声に返ってくる返事など、当たり前のことながらどこにもない。

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2008/01/07 11:53 | Comments(0) | BASARA/サスダテ
市政&小市妄想
 目の前で風が叫び、パッと赤い彩(いろ)が散る。
 最初はそれが何か理解することが出来なかった。けれど、ひらりと己の髪が舞い、ふいに右眼にかかる重みが減ったのを感じたとき、斬られたのだと知った。

「―――政宗さま……ッ!!」

 小十郎の声が聞こえる。
 きっと慌てた顔をしているのだろう。その声は珍しくも震え、聞き間違いなのか怯えすら滲んでいるように思える。しかし政宗には小十郎の表情を確かめる余裕などない。
 右眼を覆い隠していた眼帯(じゅふ)が外れたのだと知って、ひゅっと呼気にも似た声を上げるしか出来なかったから。

(気味の悪い子……)

 闇が、蘇る。
 この腐った右眼の奥に隠していた、闇が。閉じ込めていた闇が、蓋を外して這い出てきてしまう。
 支えを失った政宗の躯は、瘧(おこり)のようにがくがくと震え、顔は青白く染まっている。小十郎はそんな主の姿を見て取り、自分へと襲い掛かってきてた敵兵を一瞬で切り伏せると、政宗の元へと走り寄った。

「政宗さま!!」

 正気付かせるために強く肩を揺すっても、その隻眼はどこか遠い場所を見たまま帰っては来ない。
 幼き日に負った疵は根深く、今だ主がそれを抱えて生きているのは知っている。けれど、だからこそ。ここでその闇に呑まれさせるわけにはいかなかった。
 小十郎は闇に怯える政宗を背後へと庇い、主を惑乱の中に叩き落した張本人へと刃を向けた。

「……やってくれたな、女」

 自軍の兵士たちすら怯える形相で凄んでも、相対する女―――故・浅井長政が妻、お市の表情は揺らがない。
 ただ、どこかぼんやりと焦点を無くしたような眼で、小十郎の背後で震える政宗を見つめるだけだ。

「その人、闇を飼っているのね……」
「なに?」
「市と同じ……薄汚れた闇の甘い香り。その人からも、薫ってくるの」

 訥々と、感情を交えずに呟かれる言葉たちは現実と言うには薄ら寒く、小十郎は知らず眉間に皺を寄せてしまっていた。
 けれど市は、そんな小十郎など意に介さず、政宗だけを見つめてその沈鬱とさえ言える表情に微かな笑みを載せて呟いた。

「ふふ……可哀想、」
「―――っ貴様……!」

-------------------------------------------------------
「要らない子。呪われた子。大事な人を殺してゆく、穢れた子。……あなたは、ほんとうに市とそっくり」

「お、れは……っ!」
「怖がらなくて良いのよ。市もほら、こんなに汚いのに、ちゃんと生きているでしょう? 大丈夫よ。闇には底なんてないもの。どこまで堕ちても、まだ足元には穴がある」
「何が言いたい」
「……あなたには分からないわ。あなたは闇に穢れた人じゃないもの」
「っんだと……?!」
「市や、その人みたいに、あなたは闇を呼んだりはしない。……ねえ、独眼竜。市の言ってること、あなたなら分かるよね?」
「おれ、は……」
「日のあたる場所に出ても、なぜか闇がついて来る。払っても、払っても。まるで影みたいにひっついて、大切な人を闇の中に誘ってしまうの」
「黙らねえか!!」
「何をそんなに怒るの? 市は本当のことを言ってるだけなのに」
「なぜ、それが本当のことだと分かる! てめえの道理を人様に押し付けんじゃねえ!!」
「……じゃあ、その人は大事なものを喪ったことがないの? 市は、たくさんたくさん失くしたよ。大事に育てていた鳥も、可愛がっていた猫も……長政さまも。大切にしていたものは、全部……にいさまが待つ昏い闇に連れて行かれてしまった」
「―――ッ、」
「ねえ、独眼竜。あなたのお父様は……」
「黙れ!!!」

「怖がらなくても良いのに。どうせ、市たちもすぐに闇の世界に行くんだから」
「闇の世界に、だと……?」
「そうよ。みんな一緒に、昏ぁい世界の中で暮らすの。だから、大切なひとを喪っても……怖くないよ? だって、すぐにまた逢える」
「……狂ってやがるな、てめえは」
「くるう……? くるうって、なに? 市は狂っているの? じゃあ、その人はなに? そんなに闇に侵されてるのに、その人はくるってないの?」

「市は、あなたが嫌い。闇の甘い香りがしない。冷たい陽の匂いがするあなたなんて、嫌い」

「にいさまからは、強い闇の香りがするのよ? 深い深い闇を連れた市よりも、もっと強い甘い香り……。だから、市はにいさまの側に居るのが好き。だって、市の闇が消えてくれる。にいさまの側に居るときだけ、市の闇は見えなくなるのよ」

「ふ、ふふ……あは、ははは……っ。あなたは綺麗ごとばかり。綺麗で綺麗で、見ていて吐き気がしそうよ」

「独眼竜も可哀想。あなたみたいな人の隣に居たら、苦しくなるだけなのに……。あなたはにいさまのように、その人の闇を隠してあげられない。逆に闇を浮き立たせて、その人を苦しくさせるだけ」



2008/01/07 11:48 | Comments(0) | BASARA/その他CP
無題
繁「……てめえ、なに人ん家で寛いでやがんだ、ああ?」
葛「んー? なんでって、今日は定例報告日だろ? ……まさかおまえ、忘れてねえよな?」
繁「って、おい。なに食ってやがる」
葛「アロエヨーグルト」
繁「また勝手に人ん家の冷蔵庫漁りやがったな……。貸せ、」
葛「あーーーっ!! テメ、俺のアロエヨーグルト食うんじゃねえよ!!」
繁「元は俺のだろ」
葛「一口でも俺が食ったもんは俺のものなんだよ!」
繁「……ほお?」
葛「ったく、良いから返せよ! どうせおまえ甘いもの嫌いだろうが!!」
繁「一口でも齧れば、そいつはてめえのもんになるって言うんだな―――孝明?」
葛「だからそう言ってんだろっ。……なあ、ヨーグルト返せって、」
繁「じゃあ、てめえは俺のもんだって認識で構わねえよなあ?」
葛「ああッ? 何ふざけたこと言ってんだよ、おまえ!」
繁「違わねえだろうが。いつも俺に食われてアンアン言ってんのはてめえだろ?」
葛「そ……なっ!?」
繁「なあ、孝明。てめえは、俺のもんなんだろう……?」
葛「ちょっ、ちっ近寄るんじゃねえよ、クソ繁隆ぁああああ!!!!」

2007/12/28 20:15 | Comments(0) | オリジナル

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